拓殖大学「教育ルネサンス」改革改善への取組


01-3 教育・研究 - 各学部における実践的な職業教育の充実

2020年度 実践的な職業教育の充実

-国際物流論B-

  • 科目名

    国際物流論B

  • テーマ

    モーリシャス沖のWAKASHIOの事故

  • 実施日

    2020年12月17日(木)

  • 担当教員

    松田 琢磨商学部教授

  • 講師

    中村 秀之 氏〔(公財)日本海事センター 主任研究員〕

  • 活動内容

    商学部の専門科目「国際物流論」は、国際ビジネスを支える世界の物流の現状と課題について、知識を得て社会に出る前の基礎力を涵養することを目的に挙げています。
    2020年8月、商船三井が用船し、岡山県の船主である長鋪汽船が船主のばら積み船、"Wakashio"がモーリシャス沖で座礁し、燃料油を海上に漏出させる油濁事故を起こしました。海上輸送は、日本のみならず世界の国際ビジネスにおいて重要な交通機関、輸送機関でありながら、その実情は広く知られていないのが現状であります。直近の話題をもとに国際ビジネスにおける現状と課題を知ることは国際物流論を受講する学生にとっても重要です。さらに、Wakashioの事故は環境問題という点からも世界的な注目を集めており、近年の環境問題に即した知識を得ること、また、近年注目を浴びている持続可能な企業経営に関する知見を得ることにも寄与すると考えられます。
    今回の講義では、(公財)日本海事センターの中村秀之氏を招いて、モーリシャス沖座礁事故と、民事責任を中心に国際的な補償体制について取り上げていただきました。中村氏は国連海事機関(IMO)の法律問題委員会および国際油濁補償基金での会合における日本代表団として10年以上の参加経験を持っております。そのため、国際的な業務の現場を知る経験者の話を聞ける点でも貴重な機会となりました。なお、今回の講義はZoomを使って、オンラインで行っていただきました。
    講演のなかでは、まず、事故の概要について映像を交えてお話ししていただいた後、船舶をめぐる制度の説明をいただきました。海運業は船の所有と利用の関係が複雑であり、制度を知ることが民事責任を考える上でも背景として重要になるためです。そのうえで、補償問題をめぐる国際条約の枠組みについて説明をしてもらいました。さらには国際的な条約を適用するうえでの制度面での不確実性についてお話しいただき、モーリシャス沖の事故については事実関係の認定以外にも解決までに横たわる問題の難しさがあることを説明していただきました。
    今回の講演は受講生にとってかなり難しい内容を含む問題ではありました。しかし、国際物流を支える制度の複雑さがある一方で、こういった問題に対処していくことも環境問題や持続的な経営という観点からは無視できない問題であることは認識してもらうことができました。今後、今回の講義が国際ビジネスを支える高度な職業人として必要な素養を涵養するための一つのきっかけになってほしいです。

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    January 27, 2021 11:14 AM