カテゴリーソート
-中国-
科目名
中国
テーマ
大分から中国、そして世界に拡がった一村一品運動の本質
活動期間
2018年12月13日
担当教員
岡田 実
講師
内田 正 氏(国際一村一品交流協会 理事長)
内田正講師(国際一村一品交流協会理事長)からは、周到に用意されたPPTやカード等を効果的に用い、さらに大分から持参した一村一品の実際の生産物(椎茸、カリントウ、トマトケチャップなど)を学生に示し、あるいは学生に試食させつつ、リラックスした雰囲気の中で、一村一品運動の開始から今日に至るまでの実践活動について熱く語っていただいた。
内田講師から、一村一品が大分で生まれた背景(過疎化、高齢化)や発展のプロセス、とりわけ1960年代当時、出席学生と余り年齢が違わない地元の若者が世界を見て回って地域興しの主役となったこと、平松知事の県政はあくまでこうした若者のサポート役に回ったとの話は印象的であった。また、一村一品は、必ずしもビジネスとして儲けることが目的ではなく、地元の住民が誇りをもって自立していく運動であること、特にこの運動が爆発的に普及したのは、それまで農家の嫁として家庭の中に抑圧されていた女性が、農産加工、販売のグループ活動を通じて自分の世界を広げるエンパワーメントの作用があったからであったとの実体験に基づく説明は説得力があった。
さらに、中国との係わりが、一村一品を始めて間もない1980年代初めから今日まで続いており、中国政府中央の要人となった人物の多くが大分の一村一品を視察に来ていること、中国だけでなく、タイ、ベトナムなどアジアや世界中に一村一品が広がっていること、最近ベトナムで副総理が出席した大きなセミナーがあり、世界の一村一品ネットワークを作る話が出たなど、グローバルでダイナミックな動きを学生が知る機会となった。
終了後に学生から提出されたリアクションカードでは、「初めて一村一品のことを知った」とする学生も少なくなかったが、内田講師の講演を通じて、日本や世界の農業・農村の置かれている状況や、地方創生の意義・難しさの内実を改めて理解する良い機会となったことがうかがえた。また学生から、この運動が日本の他の地域や諸外国において、どのように展開されているのか、今後どうなるのかをさらに知りたいとのコメントが多数寄せられた。